映画感想「この世界の片隅に」

映像

 長らく映画を観ておりませんでしたが、12月「この世界の片隅に」をひっそり観に行ってきました。他のお客さん観てると親のような歳の方が多かったように思いましたネ。以下、若干のネタバレありなので追記に書くよ!(そしてまたも長文というね…)

 本作品の主題歌はコトリンゴがカバーする『悲しくてやりきれない』。オープニングで流れましたが、それっきりでラストは流れませんでした。あえてかな、私はそれで良かったなぁと思いました。

簡単なあらすじと感想

 超簡潔にいうと、すずさんが大人になって、お見合いして、結婚して、戦争が始まって、終わるという話。何故か昔から一回観た映画は大体覚えてしまうので、いちから書いちゃうと下手したらシナリオになっちゃいます。「その能力を勉学に生かせ」と散々言われた私です。そんなわけで、一個一個書くんじゃなくていちばん強く思ったことを書きます。

私の記憶

 すずさんはお見合いをして、広島から呉に行きます。相手のことはよく知りません。この時代にはよくあることですね。私の祖母も戦中、17歳でお見合い結婚をしました。そう、もう最初っから祖母のことばかり思い出しちゃったんです。

 おばあちゃん2人とも大好きっ子だったのでしょうがない。すずさんと違うのは、祖母の場合は夫が出兵したことです。硫黄島で戦死したとのことでした。私とはその〝おじいさん〟には血の繋がりがありません。

 わりと序盤、出兵したすずさんのお兄さんが戦死したとのことで骨壷だけが家族のもとに帰ってくるというシーンがあります。骨壷を開けると、石ころが1個コロンと入っていました。子供のすずさんと妹は「お兄ちゃんは石ころになっちゃったんだろうか?」というようなことを言います。「死んだと言われて骨壷だけ帰ってきたけど、砂しか入ってなかった。そもそも硫黄島で死んだかどうかさえわからないんだよ」と言った祖母を思い出しました。

日常の尊さ

 この作品は徐々に迫ってくる戦争というものと日常を描いています。まさに祖母に聞いていた話とこの作品が私の中でリンクしてしまったわけです。祖母はどっちかといえば疎開先になるような東北のド田舎にいました。それでもそうやって戦争の渦中にいたことには変わんないわけです。今もどこかで同じようにそういうことが起きてるわけです。

 「戦争はだめだよ!」とかいうような説教くささではなく、ただそこにあった生活に焦点を当てたというのが多くの人に刺さったんでしょうね。私自身も戦争賛美みたいな作品だったり、軍とか国目線の作品、実際かなり苦手で避けます。だからかな、私は小津安二郎作品がとても好きです。あー、知ってたらクラウドファンディング参加したかった!!エンドロールに参加した方の名前が流れてくるんですが、その下側に作中の人物の話が流れてきます。それも最後まで必見ですよ。

 原作読まなきゃ!!個人的に最高に好きなシーンは、それまでなんだか遠慮がちだったすずさんが周作さんと喧嘩するシーン。初めてちゃんと夫婦になったような、そんなシーン。もう、きゅんきゅんしてました!!のんさんと細谷さんのトーンが近くて、よく合ってて、とても可愛かった。周作さんはすずさんのことをお見合いする前から知っていました。

 というか、2人は子供のときに逢っていたんですよね。ちゃんとそのシーンは最初に出てきます。すずさんは周作さんに言いました。「ありがとう。この世界の片隅に、うちを見つけてくれて」なんて愛しいことばだろう、と想った私なのでした。おしまい。

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